東京に住んで19年目になる。大晦日から元日にかけて、鉄道の終夜運転(普段動いていない夜中も何本か列車が動く特別ダイヤ)があるのは知っていたが、実は利用をしたことは一度も無かった。だいたい帰省しているか、遠出の旅行をしているか、あるいは都内にいても普通に寝てたり家で過ごしたりしていたためだ。
今年は都内に留まる正月だったので、いっそ今まで使ったことのないJRの終夜運転を体験してみよう!と思い立ち、家族が寝静まった頃コソコソと身支度をして家を出てみることにした。アテや計画は一切無く、完全にフィーリングで動いてみる。
最寄り駅の阿佐ヶ谷を1:08に出発する。普段では終電が行ったあとの時間だ。中央線は下りがほぼ100%くらいの乗車率のように見え、上りは新宿まで座席が十分空いているほどであまり多くの人は乗っていない印象だった。
新宿で山手線内回りに乗り換えてみる。1:30くらいだが、この人出だ。想像より全然人が沢山いて、ハッピーニューイヤーなんですねという気持ちになる。
列車の発車時刻を示す電光掲示板に、見慣れない2時や3時の列車が表示されるだけでなんか面白くなってくる。その気になれば小山や逗子のほうまで行けてしまうのだなあ。行かないけど。
で、1:30頃発の山手線内回りも一応座れたが、立っている人も結構いるほどの混雑だった。また車内では、酔った外国人が別のグループの外国人に話しかけたりして盛り上がったりしていた。ハッピーニューイヤーなんですねという感想である。
この外国人は渋谷で降りていった。また原宿では明治神宮帰りと思しき人も乗ってきたが、おそらくピークはこれより遅い時間なのだろうと思う(見てないので想像です)。
このあとしばらく乗っていたが、どの駅でもポツポツと乗り降りはあり、2時近くなっても動いている人多いなあという率直な感想だ。あまり飲食店も多く開いてるわけでもないのに、みんな何やってるんだろう……と思ったが、浜松町での乗り降りは特に多かった。増上寺の初詣客と思われる。まあ初詣ですよね大体は…。
で、ぐるっと遠回りで鶯谷でふと思い立ち下車。理由はラブホではなく、24時間営業の居酒屋「信濃路」が営業してくれてたら……という一縷の望みに賭けて。
流石にやってるわけがなかった。でも元日の朝7時からは開けるとの貼り紙があった。すごいな。
とりあえず適当に近くを散歩してみる。ラブホ街では満室で入れず次から次に空室総当たりチェックをしているカップルや行く行かないだのの攻防をしている中年男女(行くくせに…)などを横目に、開いている飲食店はないかと思って歩いた。
完全にノーマークの神社に出会った。元三島神社というようで、周囲をラブホに囲まれる異様な雰囲気のなかここだけは厳かな空間で、初詣はここにしようと早速寄ることにした。
茅の輪があり、くぐり方を守って∞を描くようにぐるぐると歩いてから階段をのぼる。
先客は3人ほど。全然ならぶ必要もなく初詣できた。神様によって御利益が違ったり神パワーが違うのかもしれないけど、そんなに激混みのところに行かずともよくね?というのが個人的な見解です。
このあとは山手線外回りに乗って秋葉原で下車。すると……。
ちょうど初日の出列車が来るところだった。年末の時刻表を見ていると臨時特急として走る初日の出や初詣客を乗せる列車が幾つか掲載されているのだけど、それをちゃんと見るのも実は初めてだった。
当然、こういう人たちもいる。駅員さんも普通に「オラ、線からさがれ!」と叱っている。
これがあの人たちのお目当ての「特急 犬吠初日の出」。車両としては普段の特急しおさいや特急さざなみと同じかと思うのですが、ヘッドの電光掲示が重要なのでしょうか(よくわからない)。
臨時特急を拝んだあとに改札を出てみると、ヨドバシカメラの初売り福袋目当ての客たちが大量に並んでいた。
「夢のお年玉箱」というらしい。この光景のどこに夢があるのだろうと真面目に思うし、既に誰も得しないフェーズに入ってませんかね…。
そんな寒さに耐える人たちと店員を見つつ、近くで営業していた幸楽苑でラーメンを食べて体を温めた。ありがてぇ〜〜。
その後電気街口方面に移動して、そのまま神田明神の様子を見てみようと思い立つ。人の流れもそちらに動いていて、やはり秋葉原に思い入れのあるであろう人たちが多く目に付いた。途中でオタサーの姫を囲んだオタサーがウェイッ!ウェイッ!と気合いを入れている様子なども見えた。
ところで、神田明神ですけども、
夜中の3:30というのにメチャ混みでお賽銭投げるところに到達するのは到底不可能ですぐに退散しました。コスプレの人とかもいてコミケからそのまんま来たのかはわからないけど、いわゆるオタク友だち的な繋がりありそうな人たちが楽しそうにしている様子がよく見かけられて、単純にうらやましいなあと感じた次第。深夜に仲間と出かける特別なイベント日ったら、まあ普通に楽しいよなそりゃ。
そろそろ頃合いかと思い、神田明神からお茶の水駅まで歩いてそのまま阿佐ヶ谷に戻ることにした。電車も空席はないくらいの乗車率。仕事以外ででも夜通しで外に出てる人って結構いるんだな〜という実感を得た。
阿佐ヶ谷についたのが4:30くらい。神明宮という神社で初詣その2。全然空いてて静かで、自分の心身を引き締めるのにはやっぱりこのくらいの静寂とキリッとした寒さが丁度良い。遠路はるばる出ずとも近場の神社でいいんですよ。というわけで500円投げ込んで、幾つかのお願いごとをし、そのまま自宅に帰って就寝しました。
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特にオチも何もなくただの日記なのですが、やってみたことのないことは案外身近にゴロゴロあり、そしてちょっと腰を上げればすぐにやってみることができるという話でした。