光景ワレズANNEX

赤いソファを知ってるか 青いソファを知ってるか

褒めのセンスについて

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年末の長い休みなので、家にある仕事用の革靴を一斉に磨いた。以前は月に1度くらい靴磨きをやっていたが今は忙しいので、四半期〜半年に1回できればというくらいまで、あとは気になる部分が出たら軽くケアする程度になっている。それでもヘンなシワが寄っていないかとか革や靴底が割れたりしてないかなどの気配りはずっと忘れていないつもりだ。

そのうち手持ちの一足は靴底(ゴムではなくレザーソール)に穴が開きかけていたので、貼り替えの修理に出した。その際応対してくれた職人が「もう1回貼り替えてますね…でもこれはキレイに手入れしてある」と言ってくれた。流石の職人の眼であり、また純粋に嬉しかった。

 

自分の持っている革靴は(革靴界において)ハチャメチャに高いものはない。ジョンロブがどうとかみたいなそういうマウントはノーサンキューである。おいくら万円かわからなければジョンロブでググってください。

 

職人さんはそういうのではなくて、メンテナンスのことに触れてくれた。それが嬉しいのだ。なぜならそこにぼくのコダワリがあるからだ。「高くて良いモノですね〜」とか「クロケット(←ブランド名)いいですね〜」だとそんなに嬉しくない。普通の靴よりは高いが革靴界で言ったらしょせん中級程度のものだからだ。更に、1度の貼り替えを経ているということはそれなりに使っている証左でもある。実際修理に出した靴はもう8、9年は履いているものだ。それを踏まえての手入れへの褒め。職人さん、イケてるよ貴方。

 

スーツに合わせる靴は価格もさることながら手入れの状態によって目に見えてその状態に差が出る。一度も磨いたことのない人の革靴は潤いが死んでカッピカピになっていたり当たる部分の色が落ちていたり、あるいはあからさまな合皮の不自然なテカテカさや、安くて餃子みたいな作りとか、気付く人も少ないのかもしれないがぼくはよく値踏みする。といっても、パッと見でブランドや具体的な靴のモデル名までわかるほどオタクではない。純粋にキレイだなとか手入れしてるなとか、そういう見方である。

 

おっと靴の話だが靴の話をしたいわけではなく、褒めの話をしたい。

たとえばオシャレな人に対してでも「高そうですね」なのか「似合ってますね」なのか「センス良いですね」なのか、何がハマる褒めなのかは見極めが難しい。それは情報が少ないほど、総合的に瞬時に判断する力が必要だ。

 

ぼくは単純に「何かを語らせたら長い」人にその話を聞くのが好きなので、コダワリを持っていそうな人がいるとそこを褒めて話を引き出す。大抵持っている物体にコダワリがある人は、そこが光って見える(比喩では無く大抵光ってるんだよ、マジで)のでわかりやすいのだが、何も物質的にコダワリが見えない、非物質的なものとか内面のものにコダワリがある人は一見でわからないので困る。あと本当に何のコダワリもない人というのも結構いて、それは掘っても掘っても温泉は出てこない。あきらめましょう。