作業をするために仕事帰りにちょくちょくスタバに行っていた。個人喫茶店でそこまで長居するわけにもいかないし、他のドトールやタリーズ、サンマルクなどなどのコーヒーが飲めるチェーン店よりもスタバは不思議と居心地が良い。ちょうど帰り道にあるスタバはゆったり系の店舗だったのもあって、週4は行っていた。
※カップに何かメッセージを書いてもらうチャレンジも一時期していたがそれはまた別にまとめます。
そんな生活をしばらく続けて流石に常連を名乗ってもいいくらい通った頃、このレシートが出てきた。
CV(カスタマーボイス)クーポンというそうで、ランダムで発行されるらしい。これが出てきた場合記載のページからアンケートに答えると漏れなくトールドリンクが無料で飲めるとのこと。ネットで調べると結構レアな確率らしく、店員さんも貴方はラッキーマンだ的にちょっとテンションが上がっていた。
使用条件を良く確認する。ネットや端末の環境で失敗するリスクはある、とあるがその程度。あとはSTARBUCKS RESERVE ROASTERY TOKYOという店舗では使えないとのこと。これは後で調べたら中目黒にあるフラッグシップ店のようだ。
アンケート自体は特に難しくも質問数が多いわけでもなく数分で終わった。
せっかくの無料チケットなので最大限に活用したい。いつものようにただのドリップではつまらない。基本的にこのクーポン「何でもいい」「カスタムしてもいい」らしいので、どんなトールドリンクなら最も高額になるのかを検討した。値段で考えるのがまずセコい根性なのだが、これは今後のインターネットへの知見提供というつもりでもいるのでどうか許してほしい。
予習する
トールアドショットエクストラチップエクストラコーヒーエクストラホイップダークモカチップフラペチーノください! →590円
トールエクストラシロップソイエクストラソースアドチョコレートチップエクストラコーヒーエクストラホイップキャラメルフラペチーノください! →620円
トールキャラメルソイアドショットエクストラソースアドチョコレートチップエクストラホイップバニラクリームフラペチーノください! →670円。
このようにドラグスレイブより詠唱時間の長い呪文でも670円。うーんもうちょっと上をいきたい。というかむしろガッツリ背脂系みたいなカロリーに引くけど。
ていうか、トールエクストラシロップソイエクストラソースアドチョコレートチップエクストラコーヒーエクストラホイップキャラメルフラペチーノって味がそもそもわからない。いっそスタバもトッピング含めて食券制にしたらどうですかねみたいな。
……その後ホームページを調べていると、特別な店舗で特別なコーヒーを出していることがわかり、そこに行くだけで解決と相成った。小賢しい呪文やワザより物理攻撃。バランスの崩れたゲームは大体こうです。
高いスタバのコーヒーを飲みに行く
スタバの中でもフラッグシップ的な「スターバックス リザーブ」の提供店舗にやってきた。このタイプのお店は一般のスタバにはないメニューが多数あるようです。
レジで店員さんに
「これが当たりまして……」とCVクーポンを出すと、
「あら、おめでとうございます」という。
「ヤラしい話ですが、これって本当になんでもトールならOKですか?」と尋ねると
「はいもう、お幾らのものでも大丈夫ですよ!」と清々しいお答え。だからスタバは良い。
私ももうモテとかカッコツケの領域を卒業したオジサンなので、
「じゃあセコい話で申し訳ないのですが、このお店で一番高いトールのドリンクをください」と完全に初期の美味しんぼで山岡にボコボコにされるザコエセ美食家のムーブ、あるいは金持ちをひけらかした後で酷い目に遭わされる成金(全財産失ってパンツ一丁で土下座、もしくは戸愚呂弟に後ろから頭をダルマ落としみたいに蹴っ飛ばされるなど)みたいなセリフを吐くと、
「あぁ〜大丈夫です! じゃあこれでいいですか?これが一番高いですよ」と即答。ありがとうございます店員さん。
はい、コロンビア セロ アズール 1560円なり!!!!
でもタダ! CVクーポンがあれば、タダッ!! タダッ!!(アフロマンスの声で)
カスタムの呪文で試行錯誤した時間を返してほしいくらい圧倒的な価格ッ!!
普通のコーヒーやドリンクだと「こちらでお待ちください」と提供待ちカウンターに促されるが、このコーヒーの場合は豆から抽出過程からをつきっきりで見せてくれるタイプなので、こっちにいらっしゃ〜い的に店員さんに案内された。ゆっくり見たいのになぜか係の人がつきっきりで案内してくれる北島三郎記念館を思いだした。
スタバの中でも限られた店舗にしかない「クローバー」というすげえコーヒーマシン。機械に引っ込むザッハトルテみたいなやつがコーヒー豆です。何やらよくわからないがコーヒーをバキュームするということで根本的にドリップ式やフレンチプレス式とも違うやり方なわけです。こんな手法家庭では絶対無理だし、俄然コーヒーの味へ対する期待も高まるものだ。なにせ最近は活動が先細りなものの、なんだかんだ純喫茶訪問は数百件を超え、高齢のマダムが雪平鍋をジュッジュッと言わせながら鍋から直接ドリッパーに注いだ雑な抽出コーヒーこそ愛している私、要するにそこまでコーヒーの味を自信を持ってのアレコレがわからないわけです。というかコーヒーの味なんかブラインドテストしたら絶対わからないからね。したり顔でうそくせー能書き垂れてる奴ら全員テストにかけてやりたいわ。そんな私の一番好きな珈琲はドトールのブレンドなので、果たしてこの私を納得させられるかな……? という気持ちで眺める。なにせ1500円オーバーのコーヒーである。仮に自腹だったら好き勝手言えるかというと逆に言えない。それは「1500円も出したのだから美味くなかったらウソだ、というか美味くあらねばならない」と脳が防衛機制を働かせ、多分美味いと思い込むのだ。ダータで飲むからこそ本当の味を味わえるに違いない。
これができあがったコロンビア セロアズールです。
肝心の味は…………
さて、この豆についての説明POPも用意されていた。
豆の状態でも100gで3120円というのは凄まじい。
(コーヒー豆を買わない人向けに目安をお伝えしますが、標準的な高くも安くもないなという豆で大体100gで500〜700円くらいかと)
「ローストの過程を実際に見られ、購入出来るという体験価値を価格に反映しています」
要は、キサマは体験を買っているのだからコーヒーそのものがバカ高いわけではないし価格=美味さではないということ"ワカって"ますよね? まさかまさか…原価厨とかコスパ厨のようなことは言いますまい……? ということである。ええ、ええ、言うわけないじゃないですか。こういうコーヒーも大変よろしいと思います。自分の金なら絶対に飲まないな、というだけなので。
……というわけで、もしCVクーポンがまた当たったら来ます!ごっそさん!(食べログのしょーもないレビュアー風に)
【おまけ】
件のスタバ呪文詠唱アプリの評価
(おわり)