息子が2歳半になる頃に、デジカメを買ってあげてみた。
アプリやYouTube用にiPodは買い与えていてそれで写真も撮ってはいたが、単機能のデジカメは初めて。
防水防塵、そこそこ耐衝撃で、操作はシンプルでキッズモードも搭載、かつ1万円前後とそれほど高くもない、ということで子供向けに定評のあるシリーズだ。ヘタなコンデジの防水ケースより安いじゃないか、と思ってこれにした。
早速興味津々の息子(2歳半)をiPhoneで撮る。
早速興味津々の息子(2歳半)をiPhoneで撮るおっさん(36歳)を撮られた。巧いじゃないかキミ。
……しかしこれはまぐれ当たりというか、思いも寄らない欠点があった。それはシャッターボタンが堅すぎて2歳半の力と手の大きさでは押しにくそうだったこと。この辺はやはりスマホに分があるのだが、スマホのカメラと単機能のカメラではまた心構えも変わってくるようで、カメラを携えて息子が撮っていった写真を完全に親バカ目線で紹介したい。
2歳6〜7ヶ月頃
買い与えた数日以内だと思うが、撮ろうとしたところを撮影アシストしているのでブレてはいない。よく食べるアンパンマンのパンとお茶。メシを撮りたくなるのは2歳児だって大人だって同じらしい。
電車に乗るときに撮影。一応これもアシストはしたがカメラは自分で向けている。持ち方の関係でよく指が写り込むのであるが、これも親目線では"味"に見える。悪いか。
2歳7〜8ヶ月頃
どうしてもカメラのサイズが手に合わないのでブレやシャッターミスは仕方が無いのだが、作品を見るに、そもそも直接的に「何を撮りたい」という意志が明確に見えてきつつある。
プラレールのレールである。興味がそのまま写真に出ている。もちろん構図だとかの打算は一切ない。プラレールが好きだという興味そのままが表現されている。
これもプラレールの駅の部分。きちんと先の青いレール部分とは区別してこれはこれで撮影しているのだな、となんだか素直に感心してしまった。
一時期『トムとジェリー』にめちゃめちゃハマってた頃。トムが撮りたかったようだ。
おそらく風呂上がりのおかあさん。
おかあさんの足。
おとうさん。どこで覚えてきたのかも覚えていないが、撮るときに「ハイ、チーズ」と言ってくれる。
2歳8〜9ヶ月頃
デジカメを買い与えてから3ヶ月程度。オッサンになるともう3ヶ月なんて誤差程度の時間だけど、なにせ2歳の3ヶ月は全然経験値の稼ぎ方が違う。毎日の暮らしの中でレベルアップのファンファーレがジャンジャン鳴っているのだ。
お茶の入ったコップ。こういう大胆な寄りとかはもうオッサンの感性ではできない。なんならイキった美大生が撮ったと言い張ったら通じるのではないか。
いつも使っている自宅マンションのエレベーター。毎日毎日見ているものだが、息子の目線の高さってこれなんだよな、と気付かされる。
総武線の運転室にある青いバー(もたれるやつ)を「あれは何だ?何だ?」と言ってそのまま撮る息子。わざとらしくないナナメ感も最高じゃあありませんか。
高円寺駅の改札。なんというか、ほぼ普通に取れている。ボヤけているのはレンズにあたる部分にガンガン触ってるためであり画像フィルター効果ではない。
総武線の列車。息子は鉄道が大好きで、これも毎日乗っているので当然撮る。
「他の人や電車が走る邪魔にならないようにしようね」と言うと息子は「はーい」と答える。なぜならとても可愛くて賢いからである。そして他の客や職員、列車運行に迷惑をかけるイイトシした一部の撮り鉄たちのモラルをこの2歳児はたったの2歳でゆうに超越しているのである。素晴らしい。
なんだこりゃ、と思ったら……
リサイクルショップのおもちゃを撮っていた様子。ストレートな欲望の表現。
空を撮ってみたけど写っていた電線が気になったようで、「これは何だ?何だ?」としきりに言っていた。やけにサブカルチックじゃないか!
空ばっかり撮って#イマソラだののハッシュタグ付きでinstagramで投稿する日もそう遠くないだろう。
ここ10年以上の自分の趣味であるところの写真を最近記録以外ぜんぜん撮っていないのだが、息子の写真を見てとても感性を刺戟された気がする。そろそろ重いカメラを持ち出そうか。
なおCOOLPIX S33はこのようなシーンで普通の防水デジカメとして大人が活用するのも全然アリだと思います。画質はそれなりだけど安いし「気軽という機能」を持っている優秀なカメラです。