「こどもちゃれんじ」のしまじろうは計算され尽くしたキャラだとか、ベネッセのマーケティング戦略が優れているとか、そんな話を一度は耳にしたことがあると思う。
ぼくもそういうのは前々から聞いていた。だけど実際に子供ができて「こどもちゃれんじ」に入会してみてから、それがどういう意味だったのかを痛感している。なので「それって結局どういうことなの?」という疑問を何となくレベルで抱いている人に向けて具体的に説明したいと思う。
なおこれは別にステマでも何でもないのでリンクとかは貼らない。
こどもちゃれんじとは?
学校で習う勉強の予習復習用の教材「チャレンジ」は聞いたことがあると思う(自分も小学生のときやっていた)。一言で言えばそれの幼児版である。では何を習うのかというと、あそびを通して生活習慣や社会性などを自然に身につけることが意識されている(無理矢理に教え込むとか押しつけるような内容ではない。念のため)。小1の「進研ゼミ小学講座/チャレンジ」の前段階までがこの記事で扱う「こどもちゃれんじ」の範疇になる。
細かく言うと「こどもちゃれんじ」にも年齢に応じて「baby」「ぷち」「ぽけっと」……と段階があるのだが、ここでは1歳にあたる「ぷち」の段階で説明したい。
とはいえ、どの段階でもシステム自体は大体同じで、簡単に言うと毎月小冊子や絵本やおもちゃ、DVDといったものが送られてくる。これで月あたり2000円くらい。追加料金で歌とダンスのDVDや、読み聞かせ絵本といったものを送ってもらうこともできる。基本的には、それだけだ。
キーアイテムのしまじろうパペット。勿論毎年付くようだが、数年ごとにマイナーチェンジしてる様子。
持ち出した先で他の子と被ってわからなくならないよう、きちんと名前を書く欄も。服とか含めて子供のモノには名前を書くものなのです。
おもちゃのクオリティだけでいうと決して高いとは言えない。原価厨的な目線で見ると若干割高には感じるチープさはある。ただ、あそびの本質自体は本当によく考えられていて、月齢にあったレベルのあそびと、巧く興味を惹く設計がなされている。
ぼくは子供のおもちゃも好きでよくアレコレと買ってしまう(そのうちこれもレビューします)のだけど、やはり月齢が合わないとまったく興味を示さないことも多い。そういう意味でこれらのおもちゃについてはほぼそうしたハズレが無いのが凄い。
※そもそも、市販のおもちゃとあそびの中身が被ることは多いので、こどもちゃれんじを取っていたらあとはおもちゃを一切買わない、みたいのでもいいと思う。
こどもちゃれんじの強み
こどもちゃれんじのおもちゃならではの強みとしては、おもちゃそれ自体がメディアミックス展開をしてきて、子供にその魅力を訴求してくることが挙げられる。
一例を出すと……
この絵本に出てくる「バスのプップー」はそれ自体が転がしあそびできるバスのおもちゃであるが、アイテムを認識して音声で喋るという最近の仮面ライダーベルトみたいな作りになっている。
バスのプップー初月にはどうぶつのフィギュアが付属して、それぞれを認識して音声で喋る。タカ!トラ!バッタ! 的に完全にライダーベルトだ。
で、これが翌月に送られてきた「歯磨き」を覚えるためのおもちゃと絵本。しまじろうに食料を食べさせることができる仕掛けだ。この食料を……
プップーもこうして認識して喋ることができる。 ひとつのおもちゃが、数ヶ月の間にわたって新機能を提供されつつあそび続けることができるのだ。ちなみに翌月も認識対応のおもちゃが届く予定だ。
これはどういうことかというと、親しんだおもちゃを長く遊べるというだけでなく、辞めるきっかけが掴みづらくなるというのもあると思う。
そして、しまじろうパペットとバスのプップーは実物そのものがDVDに出演し、どうのこうのと物語を繰り広げたり、歯磨きをしたりするのである。
たぶんこの頃の子供は現実と虚構の区別などついていないので、DVDで動かされているプップーも手元にあるプップーも絵本に印刷されたプップーも区別ないだろう。
ちなみに先ほどの食料を食べる絵本もDVDの映像と連動している。
食べた後は歯磨き!という展開になり……
こちらも絵本と連動。こういうのを繰り返すと、歯磨き嫌いの子供もマネをして一応やるようになってくるから凄いのだ。歯磨きを教えたりするための絵本は他にもあるけど、こどもちゃれんじのように本、おもちゃ、DVD、(使ってないけど)スマホアプリと多角的にラインナップされていて、それらを連動させつつ生活習慣とあそびを絡めて身につけさせるという市販品は、ぼくの調べた限り多分ないと思う。
先ほど「市販のおもちゃとあそびの中身が被ることも多い」と書いたが、うちの場合はそういう理由で「こどもちゃれんじ」で来そうなものに似てるおもちゃは買わないようにしていた。
そんなこんなで、今ではすっかりしまじろうファンの息子。
おすすめなのか?
結論から言うと十分おすすめはできると思う。
冊子には親向けに「ああ、この説明書きのとおり遊んでやればいいのね」とあまり考えずに済んでしまうくらい具体的な遊び方、声のかけ方などが解説されている(そんなのでいいのか?というのは勿論あるけど……)。
色々他の育児書やWeb等もかなり参考にした上で言うと、結局書いてあることは現代の育児書一般と大体同じであり、情報として目新しいわけではない。とはいえ、人間必要に際した情報でないものはあまり学びに身が入らないというのが人情ってものであり、たとえば自分の子が6ヶ月の段階で育児書で1歳のことまで先取りして予習、というのはあまりやらないと思う(日々忙しくて余裕も無いし、ね)。
そういう意味では、タイムリーに必要な情報が必要な分量で送られてくる「こどもちゃれんじ」は理にかなっているし、これで十分であるとも捉えられる。
※個人的にはそれだけでなく、3歳くらいまでの育児情報全体を見通せる一冊と、同じく乳幼児の病気、ケガに関する情報がまとまった一冊があるともっと良いと思うけど
言うまでもなく個人差、教育方針の差があろうと思うし、繰り返すがステマではないのでゴリ推しするものではない。うちの場合はとにかく歯磨きをしてくれるようになったこと、手遊び付きの歌などはEテレの番組録画より食いつきが良いことが有り難いという感想である。
しかしこうしてベネッセ帝国にうちの子供の個人情報はガッツリと握られ、以降断らなければ高校まで連綿とアレコレ提案されるのだろう。幼稚園から小学校、小学校から中学校などの大きい変化のときに、いかに顧客を逃がさないような提案をしてくるのかが今凄く気になってきている(だいぶ先の話だけど)。
余談
自分も小学生のときは赤ペン先生のチャレンジを取っていた。国語がタヌキ、算数がカニみたいなのが教えていたような気がする(皆様のときはどうでしたか)。テストだけ書いてシール集めて景品もらうためだけにやっていて、今思うと何の役にも立っていなかったし、勿体なかったなあ。