光景ワレズANNEX

赤いソファを知ってるか 青いソファを知ってるか

息子、自分の罪に対峙する。

私のかわいい息子は早いものでもう5歳になった。春から保育園の年長さんだ。自分の子供だからこういう失礼な表現をすると(他の人が自分の息子をこう表現したら超怒りますよ)、2歳くらいまではまだまだ動物、3歳くらいでまあまあ賢い犬くらいの感じで対応していたようなものだが、5歳ともなるとさすがにいっぱしの人間として対応できる知性が身につく。会話がまあまあ成立し、着替えや食事、トイレに就寝などなどある程度のことは自分でできるようになり、ふと気がつけば風呂でかた〜くなったチンチンを甘いじりしていたり、ほしい玩具があったとしていかに手に入れるかの打算と遠慮が透けて見え、たまに遊びに来る祖父母はもう純粋に会いたいのではなく何か買ってくれる金ヅルとして認識する、そういう感じである。別にそれが悪いとはまったく思わず、むしろ自分の5歳くらいのことも多少記憶にはあるのでもっと悪かったかもなあとも思うところだ。

 

そんな息子は今レゴに夢中である。なのでレゴシティシリーズなどの3000円前後のパッケージをちょくちょく買ってやっている。

 

srdk.rakuten.jp

(考えてみたらこの記事ももう1.5年前か……)

 

 

私の中ではレゴは知育玩具なので「教材」を買っていると思えばそんなにガンガン買っても抵抗がない。また私は伊勢丹の上の方やあるいは代官山やら表参道あたりの専門店で扱っていそうな、フィンランドあたりで作られたっぽい木製のボッタクリ知育玩具を「高いからイイ」「木製だからイイ」「なんだか物理法則が学べるみたいでイイ」みたいに有り難がる富裕層家庭とは違って自分自身がオモチャのことを今も大好きな中年なので、あの類は単純に"つまんない上に大した拡張性も無いクソ玩具"という理解でいてまったく買う気になれない。子供もどうせすぐ飽きるし、またそういうオモチャで物理法則の理解や算数的・論理的思考が伸びるワ〜みたいに思ってるのは親のオナニーだと思ってます。はい。大人よもっとバンダイやタカラトミーのオモチャを信じろ。(レゴはレゴ社のやつですけど……)

 

でもまあとにかくレゴでも仮面ライダーでもシンカリオンでも何でも良いのでそのとき本人が一番興味を持っているものやそれに関する情報を与えたいというのが私の考えなので、レゴが好きな息子には他に興味が移るまでレゴ関連を買ってあげたり、動画や書籍、イベント等の情報を与えたりしている。

 

で、そんな中たまたまレゴに関するイベント開催が近いことがわかった。ので、その日に息子をそのイベントに連れて行くことにした。

目玉コーナーのひとつに、レゴのプールというのがあった。

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こんな感じで数十万個のブロックがかなり広々としたスペースに入れられて、子供たちも大はしゃぎである。

息子はこのプールについてはそれほどテンションが上がっていなかったが、インスタ映えするので鍵付きインスタに日々家族情報をアップローディングすることに励む私としては当然ここで息子に泳いでもらいつつ撮り、インスタにアップローディングしてイイネを付けた人と付けてない人のメモを取り、コイツはイイと思ってないようだから後でブロックしようなどと選別していた次第である。

 

このプールはともかくイベントトータルとしては息子も楽しんで、そしてそんな生殺し状態で何もなく帰ってくるわけにもいかないのでもちろんその近くにあった本屋でレゴ関連の本を買ってあげてその日は帰宅した。

 

 

 

 数日後の休日、全然別のところに息子と出かけた。その日はまったくレゴと関係の無いお出かけだったが、帰りの駅のところで息子が「お父さん、コレ」と突如レゴブロックをふたつ差し出してきた。

通常出かけるときはオモチャを持っては出かけない暗黙のルールにしているので、ブロックを持ち出すということは有り得ない。「どうしたの?」と聞くと、ポケットに入っていたとのことだ。

 

その日は丁度、先日のレゴイベントでブロックのプールに入ったときの上着を着ていた。上着の前部分にポケットがあるので泳いでいるときに紛れ込んでも全然おかしくはない。また、仮に息子が故意に盗んできたとするならばきっと当日中に家のブロックの在庫にしまい込む。そもそもブロック自体も一般的な四角い部品でレアモノでも何でもなく、欲しくなるようなものでもない。

(一応補足すると、レゴの部品には一般的に認知されている四角いものだけでなく、車や飛行機などのセットを買ったときだけ入手できるようなレアな形状のものがある)

 

そしてそんな理由で、かつこのタイミングで申告するのは故意では有り得ない。そして何より第一に、私は息子を信じているので、これはまったくの事故であると判断した。

 

とはいえ一応確認する。「これイベントで持って来ちゃったのかな。わざとじゃないよね」と聞くとウンと答える。ポケットに入ってることに今気付いたのだろう、むしろ正直に報告したことを褒めたい。だが申告された手前「モノをパクること」のハードルを下げては教育上いけないので「いいよいいよ貰っちゃえ」とも言いにくい。

 

見通しが良くて車が全く来ていない誰も居ない交差点でも一応赤信号を守る感覚。かといって返しに行くにもイベント自体が不定期開催&場所も都度設営な感じなので事実上不可能だ。

「正直に言ってくれてありがとう。本当は返したいんだけど返す場所もないし……ひとのモノを盗ったらドロボウだからさ……でも今回はわざと持って来ちゃったんじゃないし、捨てても仕方ないから貰っちゃうしかないかな〜…」と言った。

 

すると、息子は泣き出した。

 

息子はポロポロ涙をこぼしながら「あのさ……警察に行ったほうがいいんじゃない……?」と言う。自分がドロボウになるのが怖くなったのか、親である私に怒られると思ったのか、あるいは潔白を証明したいと思ったのか、その全てのミックスの感情なのか。

 

しかし明らかに盗んできたのならまだしも、そうでもないのに何でもないレゴブロックふたつで交番に行っても何もしてくれないだろう。非常に悩んだが、「じゃあ後で、あのレゴの人たちにお父さんが返しておくよ」と一旦預かっておくことにした。そして息子を落ち着かせて別にレゴを買ってあげた。

 

※で、「後でお返ししました」とか「スタッフが美味しく頂きました」とか「インスタが乗っ取られたのでチンコの写真をアップしてしまいました」とかあからさまにウソだけどカタチだけでも真っ当なことをしました的なのが安心なのでしょうけど。

 

いまのネットにこういうことを書くと、たとえ米粒ひとつホコリひとつでも窃盗だみたいな厳密マンが出てきてめんどくさい話になるので書くこと自体悩ましい(窃盗の要件として不法領得の意思がどうのこうのというのがありますが)が、何が言いたいかというと、うちの息子かわいいでしょということです。