光景ワレズANNEX

赤いソファを知ってるか 青いソファを知ってるか

振り返ったら、外でネットを楽しむ方法を追いかけ続けた10年だった

 

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いま、誰もが当たり前のようにネットを外で使っている。こういうのが当たり前の時代になるずっと前から、外でネットが見たい、というただそれだけの欲望を持ち続けていたキモ・オタの自分語りです。

 

 

yoppymodel.hatenablog.com

ちょっと前にこれを読んだのと、

 

chintai.door.ac

先日こんな記事を書いたのだけど、その流れもあって思い出した、というところもあります。内容は個人的なネット史というよりは個人的なモバイルインターネット(ユビキタスコンピューティングと書いたほうが死語っぽくていいかな)とガジェット遍歴に軸足を置きます。

 

※個人的に使っていった遍歴なので、必ずしも機器の発売日順やサービス開始順にはなっていません。

 

 

モバイルデータ通信定額時代の幕開け(2001年)

2001年6月に、PHSで一時名を馳せたDDIポケット(→その後ウィルコム→ワイモバイル)がデータ通信定額プランを打ち出した。

 

DDIポケット、パケット通信「AirH"」で定額料金プラン

ケータイwatch

 

32Kbpsというと、それでも今皆様が苦しめられている3日1GB超え時の通信制限ペナルティのあの速度よりも遅い、というシロモノだが、それでも定額で通信し放題というのは大きかった。固定回線のネットについてはADSLが既に普及していた時代なので、当時の感覚でも遅いものだったが、とはいえ定額モバイル通信の手段も他になく(厳密に言えばアステルの一部がやっていたようだけど…)外でネットしたいマンたちは飛び付いた。

ただ自分は当時パソコン屋さんでバイトをするだけの学生だったので月5800円もの支出は流石に…ということで、客の契約手続きはよくしていたけど自分自身としては指をくわえて見ていた次第だ。

 

 

 

個人的モバイラー生活のはじまり(2002年)

それでもなんとか外でネットを楽しみたいということで、主に事前に家でサイトのデータや入り浸っていた掲示板のログといった読み物として成立するものをダウンロードしてメディアに入れては読んでいた。そのためにその頃こういう端末を使っていた。 

 

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Pocket PC CASSIOPEIA E-700 [TOP]

 

CASSIOPEIA E-700、いわゆるPDA(Personal Digital Assistantの略。もう半分死語ですね)だ。パッと見は今のスマホに繋がる系譜が見えなくもないが、 色々洗練されていない部分が多く、今のiPhoneAndroidなどとは比べるべくもないほどに使いにくかった。

※手持ちの写真に1枚もこれの写真がないので製品サイトのキャプを使ってますが、ほんとに持ってたんだよう……

 

 

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こういうのでログを読んだり、ゴニョゴニョなゲームをしたりしていた。その後も後継機など何機種か乗り換えたり(この頃PDAを使っていた人は、基本的に満足していなかったので皆コロコロと乗り換えるものだった。少なくとも自分の周りは)したが、基本的な使い方はあまり変わっていなかった。ああ、Palm OS系のとかPalmVisorとかCLIEとかは手出ししなかったのでそちらは他の方にお任せします。シグマリオンはまだ使ってる人いますか?

 

 

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こんなのも持っていた。HPのjornada。すぐ使わなくなって手放したけど。

 

 

ちなみにPDAではなく普通のケータイのほうはドコモだと503とか504とかそのあたりの時代で、ぼくも勿論ケータイは持っていたけどメールと電話以上のことはしなかった。あの頃も既にみんなチクチクチクチクとケータイいじってたけど、一体みんな何をしてたんだろうとちょっと疑問に思っている。そんなにイジリ続けるほど機能とかあったっけ??

 

 

 

Air-H"PHONE革命(2004年)

ケータイにパソコンのサイトと同じものが一応は見られる「フルブラウザ」が搭載された初めての機種は、覚えている人も多いと思うけど、ウィルコム(当時はDDIポケット。そして今はワイモバイル)のAH-K3001Vだ。オタクたちが「京ぽん」(京セラのエアーエッジフォン、から取って)なる気持ち悪い愛称を付けてはしゃいでいた。自分もその一人であるが。

 

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 最初はスゴイ!と思ったものの、ベースのスペックが貧弱なのが災いして実際の使い心地はイマイチであった。しかし、他社でもフルブラウザをケータイに搭載するという潮流を作ってくれた意味ではとても素晴らしい名機である。

そしてこの頃から、「外でもネットを見る」がまあまあ誰にでも手に届く時代になってきたのであった。ただしPCのブラウザと同等の情報量というのはまだ無理で、iモードサイト的な貧弱なものや、無理矢理変換をさせたものなどが主流だった。

 

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当時、モスの匠味バーガーをmixiにアップしていた。10年前からSNS的にやることに関しては殆ど進歩していない。

 

 

 

 

 

Linuxザウルスにしばらく落ち着く(2004年)

 

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個人的にかなり活用したのは、このLinuxザウルスと、当時So-netがMVNOとしてウィルコム純正の半額程度で提供していた(その代わり、機器を識別しLinuxザウルスでしか使えないという縛りがある。裏技でPCでも使えるようにしちゃってたけど……) 通信端末の組合せだ。ナリは仰々しいけど、PC相当のブラウザだったので情報量も問題なかった。就職活動のときもこれを使って出先でメールチェック、速攻で説明会予約を入れたり……などイッチョマエのモバイラー的なことをしていた。だからといって落ちる面接は落ちるのですけどね。ええ。

 

 

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アキバでバイトをしていたので、良品の中古が買いやすかったのだった。

 

 

 

ケータイにフルブラウザ搭載が当たり前になっていった(2006年)

先に出たAir-H"PHONEはしょぼかったので手放して久しかった(その後一応WX310Kとかいう後継も買って、すぐ手放してた)が、auが2006年2月に出したカシオ製のW41CAというフルブラウザ搭載機種を買った。

 

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パケット定額自体はauの場合は2003年11月から始まっていて、ただこれは通常のEzwebのみだったので、それ用に作られたサイトしか見られなかった。フルブラウザ利用は定額上限額がアップするということになっていたが、その差額の元を取るくらい使いまくった。一方でLinuxザウルスの出番は減っていったので、手放してSo-netも解約した。

ただ、フルブラウザも万能ではないのでやっぱり貧弱さが気になっていた。それに、この頃社会人となって昼休みの暇つぶし程度はこれで十分だったが、旅行が趣味になると出先での調べ物や移動しながらの宿の予約などができる環境が必要になってきた。

 

 2005年にウィルコムは、W-ZERO3というスマホの先駆け的なシリーズを発売しそこそこ自分のような好き者にはヒットしていた。

 

 

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自分も、派生機種であるW-ZERO3[es]などは買ったが、やはりWindows Mobileの操作性の悪さとレスポンスの悪さには辟易した。結局、「機能が"ある"」ことと「"使い物になる"」ことは似て非なることで、言い換えれば先駆性の無い機能であっても使い物になるほどにブラッシュアップすればそれは新しい価値になるのだと気付いた。

 

 

 

 

ウルトラモバイルPC "OQO"を買った(2008年)

 

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2008年くらいに、Expansysで型落ちの投げ売りをしていたOQOというUMPCを買った。当時このサイズでWindowsがそのまま動く機種は他になかったと思う。これはBluetoothテザリング専用に契約したドコモの端末と一緒に旅に持ち出してよく使い、非常に気に入っていたのだけど、四国の旅行中に壊れて二度と電源が入らなくなってしまった思い出がある。

 

 

 

 

韓国製UMPCをわざわざ買った(2009年)

OQOがぶっ壊れて困っており、代わりになるUMPC界隈の情報を常に見ていたところ、当時VAIO Pとかいう機種が無理矢理ポケットに突っ込んでてこれは買う気にもなれなかったが、

 

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一方で韓国のメーカーが本当にポケットに入りそうなサイズのPCを発表、Qoo10というサイトにて売っていたので買ってみた。

 

 

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mBook m1という機種で、このあと国内メーカーがOEM販売とかを始めたのだが、当時円高ということもあって結構安く買えた。

 

 

 

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これ夜行列車の中だったと思う(前後するけどiPhone3GSで撮影)。こんな感じでBluetoothテザリングで活用していたのだけど、キーボードがハングル文字というのがどうしても馴染めないのと、iPhoneだけでもそろそろ全然いいのでは?という感じがしてきたので手放した。特にiPhone4になって画面解像度が上がってからは本当にiPhoneひとつで十分という感じに自分の中では整理された。

 

 

iPhone3GSを買った(2009年)

 

フルブラウザケータイとしてはこの頃ドコモのN-01Aというこれまた変態形状の機種

 

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を使っていたのだけど、iPhone3GSが発売されたのが2009年6月、店頭で触って「これならイケる」と判断し即契約した(iPhone3Gに関しては使い物になるのかという疑問を持って結局スルーした)。ただそれはあくまでサブというか、やはり当時としてはFlashが使えないというのは結構ネックになる部分もあった(や、当時に関しては結構大事だったと思うのですよ。温泉旅館のサイトとか、メニュー表示から何から全部Flashのサイトとかあったらもう何もできなかったし……)。

 

ただずーっとスタイラスペン操作が当たり前のPDAUMPCを触ってきた身からすると、指操作前提のインタフェースというのはありそうでなかった発想で驚いた。なんで今までみんなこうしなかったんだろう、と目から鱗が落ちた思いだったのはよく覚えている。それにスペックだけで見るとN-01Aのほうが画面解像度も高いしタッチ対応だしでまったくiPhoneにヒケをとらなかったハズなのに、実際使ったら全然iPhoneのほうが使いやすい。やっぱりカタログの数値だけで張り合う、という発想自体がもうダメダメなんだろうなと再認識した。

 

 

 

そしてスマホ全盛の時代へ

 

以降は基本的にiPhoneの毎年のアップデートと共に過ごしてきたので割愛。旅行もiPhoneあればいいよねという感じになって以降はサブのスマホを持ったりはするがPCは持ち歩かなくなった。

いま、もう当たり前のようにネット検索、地図、SNSと出先でしているけど、ただただそれを10年前からしたくてしたくて、という気持ちだけで苦闘してアレコレとお金をつかってきた男もいたのである。そして、今そんなのは当たり前に誰もが手軽にする時代がきたのだなあ、と一人で勝手に感慨深く振り返るのであった。

 

個人的な遍歴なので特にオチとかまとめとかは無いです。

おわり。