光景ワレズANNEX

赤いソファを知ってるか 青いソファを知ってるか

2018年、生まれて初めて個室ビデオ店とVRAVを体験してきた感想

人間、何でも初めてのことをした後には色々エモーショナルになる。アラフォーにもなってようやく初めて個室ビデオ店への入店、そして数年前から話題のVRAV鑑賞を体験してきたのでその感想を綴りたい。

 

個室ビデオという業態


DVD鑑賞、DVD試写室、などとも書かれているが、要するに男性がシコっていくシコリゼーションルームのことである。ネットカフェでは基本的にそういうのは禁止らしい(とはいえAV見れるのだから実際やってる奴はいるのかも)し、たとえやろうにも上から監視された状態だし女性もいる場合があるので憚られる。そんなネットカフェと違い男性のシコリに特化したニーズに応えたもので、ここに入っていく客がいたらああシコっていくのだなと思って差し支えないのだと思う。

 

今まで色々な場所への旅行もしてきたが、宿泊を安く済ませるいち手段として検討したことはあったもののどうも「数多の男性がシコっている部屋」で寝るのもなぁ…とヘンな潔癖感が出て何となく入る機会が無かった(潔癖という意味では実際はホテルのほうがよほど色々あったりするのにね)。それに加えてひと晩3000円程度というと地方では普通のビジネスホテルに泊まれたり、あとは都会だとカプセルホテルやサウナもあるため、この微妙な価格帯の個室ビデオ店は選択肢に入ってこなかったのだった。

 

今回はたまたまヒマしていた平日日中、これまた未体験で自分内ToDoリストに入っていたVRAV鑑賞に丁度いいのではと検索したら居場所のすぐ近くに個室ビデオ店があったので勢いで入ってみたという次第である。

 

 

VRAVの絶賛されっぷりが気になった


VRAV体験者の話は幾つか見たり聞いたりしたが、主に賞賛されている部分は「没入感」、つまり「キスが最高」「話しかけられている感が」「耳元で囁かれるのがクる」「思わず手が出る」みたいな話だ。もちろん課題もあるという指摘も多々聞くが、それでもそこまでか……そこまでか?と眉唾ものには思っていた。こちとらスーファミの『F-ZERO』を発売日に買って当時としては未体験なスピード感に身体を傾けながらカーブを曲がっていたり伊達杏子DK-96もリアルタイムに見てきたようなヴァーチャルリアリティにはうるさい世代なので、この新世代ヴァーチャルリアリティもマストで体験しておくべきと考えていた。

 

 

入店の試練


入店してみるとまずは一般の狭いレンタルビデオ店のような作りだった。丁度店員と客との互いの顔がわからない低い窓口になっているカウンターに行き「VRが見たいのですが」と伝えると、その言い方が素人っぽいと判断されたのか、店員は裏ハンター試験の受付のような感じでハァ、ご利用は初めてで?と急に気怠そうに聞かれた(念能力が使えないなら帰れとは言われなかった)。

 

正直にハイ初めてですと言うと、料金体系から使い方概要などの説明があった。以前「VRAV鑑賞には60分では短い」と聞いていたので90分コースを選ぶと「これだと気持ちのいいグッズは付きませんがいいすスか」と聞かれた。気持ちのいいグッズの前に気持ちのいい接客をお願いしたいのだが、気持ちのいいグッズは60分か2時間にしか付かないというよくわからないシステムであった。しかし必要であれば別で買えるようだったので、一旦気持ちのいいグッズ無しでいいですと答えた。そしてVRゴーグルの操作方法、充電方法、ネットに接続してオンラインで視聴するビデオと内蔵したビデオがあるらしく、その説明方法オンライン用としてのWi-Fiルータの貸出しおよび接続の方法の説明などがあり、つまりはかなり面倒、通常のゲームならここで離脱する人もいるレベルに煩わしいチュートリアルであった。

 

 

いよいよ仮想性行為にダイヴする


やたら分厚い扉の個室に入ると、まずはその設備に感動した。

 

f:id:akasofa:20180825002122j:plain

リクライニングマットのすぐ左にはティッシュが壁から取り出せるようになっていたり、内線やエアコン設定、更には「ジョークグッズ」のカタログなどが完備されている。よくオタクの部屋はコックピットのようになりがちと言われる(椅子から動かずに全てが完結するようになっている)が、まさにシコリのための部屋、シコリの本質だけを見た機能美と言っても過言ではない。ただし喫煙ルームしかなかったので煙草のニオイと、それに加えて別種のなんともいえないスエた何かしらのニオイの混じった独特の空気感が気になった。ともかくしっかり鍵を閉めて、まずは教えられたとおりVRゴーグルWi-Fiルータの準備を進めた。

 

f:id:akasofa:20180825002215j:plain

ドアノブはこんな感じの二重ロックがかかる。ただしこの店舗はそこまで防音が良い感じでもなく、廊下を歩く限り普通にビデオの声が聞こえていた。

 

 

f:id:akasofa:20180825002320j:plain

ネットカフェ同様に席の種類はソファやフラットもあったが、この足を伸ばせるタイプがVRに一番良いのではと判断して選んだ(個人の感想です)。

 

 

f:id:akasofa:20180825002737j:plain

ジョークグッズ一覧(パッケージがやばそうなやつはモザイク処理しました)。こういうのを「いやあ、ジョークだよジョーク、本気にしないでね」と済ませるという扱いが面白い。本当は店員のように「気持ちのいいグッズ」と言って欲しいが、パンストやブラジャーまで販売しているのはちょっとジョークどころか目が笑ってない顔を想像してしまう。

 

 

f:id:akasofa:20180825004402j:plain

帰りは自分の顔を鏡で見て色々感じて、道徳の授業でその気持ちを話し合おう。

 

 

 

そして、仮想世界への入口のゴーグルはこれだ。

 

f:id:akasofa:20180825002950j:plain

この機種がどれほど新しいのか、全体的に優れた機種なのかはよくわからないし、他機種と比較したこともないのでこれが評価基準となります。バッテリ駆動は2時間以下らしく、ACアダプタを常に付けてくれと説明された。本体の右手操作側に決定/戻る/音量ボタンと、タッチパネルがある。

 

 

f:id:akasofa:20180825003636j:plain

ゴーグル起動後の状態。自分の目の前にメニュー画面が浮かぶ仮想空間はこんな感じ。セガサターン時代のポリゴンの空間は殺風景でちょっと怖さがある。

 

f:id:akasofa:20180825003740j:plain

下を向くとこんな感じ。自分の足は見えないので、霊体的な存在なのか、脳と眼だけの存在みたいに浮いているのか、あるいはエロゲーやエロ漫画の透けるペニスと同じような扱いなのかはわからないが、とにかく自分は不思議な力で神のごとく浮揚しながらエロビデオを選ぶという設定のようだ。

 

 

f:id:akasofa:20180825003927j:plain

上のほうの景色。

 

 

f:id:akasofa:20180825003959j:plain

森のほう。ちょっと怖い。

 

 

f:id:akasofa:20180825004036j:plain

Wi-Fi設定画面に入ると今度は南の島々が見えるかなり高い位置に自分が浮いている。まさに神の視点だが、それだけの力を持ちながらやっていることはエロビデオを選び今まさにシコらんとしている、ということである。

 

f:id:akasofa:20180825004203j:plain

真下を見るとこんな感じ。ドラゴンボール孫悟空たちの極限バトルは空を飛んでこのくらいの高度になりがちだが、こっちがやっていることはエロビデオを選び今まさにシコらんとしている、ということである。

 

 

メニュー等は以上のような感じでいよいよVRゴーグルを装着する段に至る。 

 

f:id:akasofa:20180824131923j:plain


気分は『レディ・プレイヤー1』の「俺はガンダムで行く!」のように「おれは尾上若葉でイく!」の勢いで始めるつもりだったのだが、結論から言うとレディ・プレイヤーワンシコリすらできず、ノーシコリでフィニッシュであった。これは「紳士なので女とホテルに泊まったけど何もしてません」的な空虚な嘘ではなく、リアルに不可能であった。

 

その理由は幾つかある。まずオンライン視聴に必要なWi-Fi電波が悪すぎで光学迷彩が効いたプレデターみたいな女優の止め画が表示され続けたりしてリズム感が崩れ使い物にならなかった(これはゴーグルが悪いのではなく店舗の固有の問題かもしれない)。これはオンラインではなく内蔵のビデオにすることで解決はできるが、しかしながら全体的に画質が悪く、画素のツブツブがまるわかり、まるで網戸を通して見ているような感じで、これまた没入感を妨げてしまった。(これもゴーグルの機種によるのだろうか?)


更に、コンテンツによって収録したカメラの画角が違うのか、VRAV男優(基本、自分の身代わりになっている寝そべってるだけの人)の身体の長さが違って見える結果、自分が身長4メートルぐらいに感じられ乗っかってる女優がめちゃめちゃ遠くに見えるものもあり、「ぼく脳」さんの「首が2000メートルあるろくろ首とのセックス」のネタを思い出して笑ってしまったのでこれまた萎えた。

 

 (これです)

 


それから自分が近視&乱視だからかもしれないが、女優が顔を近づけると顔がよくわからなくなる。メガネを付けた状態でも外しても同じだったので根本的な問題なのかもしれない。耳元の音だけで言えば普通のAVに音だけバイノーラル録音で十分な気もした。

 

最後に、そもそもとして映像以外見えないゴーグルをしていて自分の股間やティッシュ等が手探りなので(慣れていればまだしも)、そんな行為に至る前にゴーグルの付け外しだけでまた大変になるのでここでも終始モタついてしまった。


ゴーグルは付けた瞬間の顔の向きが正面の基準になるので、この瞬間たまたま左を向いていると左が正面になり、以降ずっと左に自分の仮想の身体と女優が表示される。もちろんゴーグルを付け直せばいいのだが、それを片手でするとなれば今度はゴーグルの上からつけたヘッドフォンが落ちたりする。更にメガネをかけているとメガネがずれたり、ゴーグルをテーブルに置くとその弾みで充電ケーブルが外れたり……とこの各種のスマートさが無い感じによってドッタンバッタン大騒ぎの繰り返しで一向にゆっくりビデオの視聴が進まない。まさに発展途上のデバイスという感じだ。またゴーグル自体の自重もなかなかのもので、片手で支えないと重さで顔面がどんどんブルドッグ化していく。このときほど、自分の腕がドラゴンボール天津飯のように4本になればなぁ(四妖拳という技です)と思ったことは後にも先にもないかもしれない。

 

f:id:akasofa:20180825002004j:plain

 

そんなこんなで最終的に「これ、無理」と本来の目的を断念したのであった。というかこれでどううまく最後までイケてるのか是非教えて欲しい。

 

 

 

鑑賞したVRAVの中で印象に残った作品


結局本来の目的を果たせなかった不満はあるが、それでもザッピング視聴をしている中で印象に残った作品がある。作品名や女優名はよくわからないが、簡単に説明したい。

 

・水中VRAV
エロシーンに行く前までしか見られなかった(お金払ってるのに??)。シチュエーションとしては自分が水泳のコーチ、女優が水泳選手という設定で、女優が自分のフォームをチェックしてくれと言ってくる。そこまではいいのだが、自分の身体は存在せず、下を見ても身体は無い。よってここでも自分は幽体のような扱いである。更にフォームを見るという段階では実際にカメラが水に沈められ、女優が右から左、左から右へとプールを何往復かするのをじっと水中で眺め続けるだけなのだ。多分5分くらいそんな感じだったので通常の人間であれば息が持たないし、水泳のコーチはずっと水中で見てることは無いと思う。またせめてAVなのだからそれなりの姿勢を工夫するとか局部等をクローズアップしてもいいはずなのに、それもなくてマジの競泳水着にマジのヘボい泳ぎだけで、これなら熱帯魚を眺めていたほうが余程心が洗われると感じた。

 

・裸の女と鍋を食うVRAV
これもエロシーン前までしか見られなかった(そういうものなの?)。シーンとしては自宅でテーブルを挟んで鍋を食べている。最初は服を着ているが、暑いのか酔ったのかわからないが服を脱いで上半身裸で鍋を食べているという状態になり終了というものだった。お前は甲子園の応援に行ったときの井の頭五郎か。

 

・黒ギャルに囲まれてなぶられるVRAV
一応エロまでいっている内容だが、展開としてはまず自分は部屋に寝ている。そこに黒ギャルが次々、計4名集まってきてずらっと並んでアレコレしてくれる。まあVRAVの王道展開のようには思えるのだが、それにしてもこの5Pの状態で自分を責めている女以外の3人、特に何もしていないのにハァハァ興奮したり声を出したりしていてそれが笑ってしまう。昔少年ジャンプの打ち切り漫画で『天外君の華麗なる悩み』という作品があり、硬派な不良の主人公が特異体質でフェロモンが出まくるため本人が望まないのに周りの女が発情しまくる、というのがあったが、まさにそういう感じなのでコレは「天外君VR」として売り出したほうがいいと思う。

 

・「チンコの視点VR」みたいなタイトルのVRAV
パッケージ画像にそんな風なことが書いてあったと記憶している。単純に興味だけで再生してみたが、特に他のVRAV同様の寝たきりポーズで、VRAV男優のチンコも見えていた。何がチンコの視点なのかわからないが、この男優がおそらくタイガーマスクに出てくる「ミスターNO」だったのだろう。

f:id:akasofa:20180825000841j:plain

(参考:ミスターNO)

 

・至近距離で女のオナニーを眺めるVRAV
これが一番感心したかもしれない。女優は椅子の上でセルフでアレコレおっぱじめており、こちらは基本的に眺めるだけ、という構成だったが、感心したのはカメラアングルにこだわりがある点だ。その椅子の下に自分が寝そべっているイメージで、本当に上を向かないと肝心な部分が見えないのだ(とはいっても肝心な部分はモザイク)。以前、スカート覗きモノのVRAVで視点が上ではなく正面に来ているからクソだみたいなレビューをされた作品があると聞いたことがあるが、このようにきちんと自分の身体を使って上を向くからこその仮想体験だ!という気概を感じた。これなら「上を向いてイこう」と坂本九に祟られそうなフレーズも使えるだろう。ただシステムの都合だろうが、それも見えているスクリーンぎりぎりの範囲だったのでもう少し上に視点を上げると、VRAV背後に広がる闇ゾーンに視界が入ってしまうのは残念で、Zガンダムコクピットのように360度撮影のVRAVが待たれるところだ(もうあるのかしら?)。


感想や要望など


・個室ビデオ店そのものはむしろ今後利用する頻度が高くなる可能性が高い(子供が二人いるし、娘もいるし、ぼちぼちもう家でスキを見てとか難しいし)ので、個室ビデオ慣れしていきたい。チェーン系列や店舗によって設備なども違うようなのでゆくゆくは快適な行きつけを見つけておきたい。

 

・個室ビデオ店については、ビジネスホテルがある一方でカプセルホテルもニーズがあるようにもっとプリミティブなスタイルの業態もできたらいいなと思う。極論、備え付けのテレビやビデオもナシで、Wi-Fiスマホ充電器とティッシュがある個室で0.5畳あれば良くないですかというところもある。有料公衆トイレのようなスタイルでサクッと済ませるイメージで。鳥山明風のキャラも要らないので。

 

VRのゴーグルはまだまだ発展途上という感想だ。今回使用したものは中途半端にタッチパネルと物理ボタンを備えていたり、また重量、電池、ヘッドフォンとの連携など洗練さが足りない感じが多々あったし、一発で「正面」を再設定できるようにする、半透過で目の前の映像を見られるカメラを付けるべき、知らないオッサンがシコった手で触ったものの使い回しが気になるので肌の当たる部分は何とかならないか、など、改善の余地は多くあると感じた。


・とはいえVRAVは今後どんどん良くなっていくのだろう。将来一番の実用的な進化の可能性としては、AVというか目の前の映像を透過してババアの風俗嬢の顔をSNOW的にリアルタイムに修正する機能なんかあると地雷店でも楽しめて良いのではないでしょうか。そんなVRAV、ゴーグルの今後に期待を込めて★4つです。

 

・個室ビデオ店のカウンター、店員と顔を合わせない作りになった配慮はありがたいけど、帰りにVRゴーグル渡すときは普通にカウンターの外にでてくるのやめてもらえますか。

 

以上です。

(おわり)