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赤いソファを知ってるか 青いソファを知ってるか

藤崎詩織40歳と、初めて一人で見に行った映画が実写版『ときめきメモリアル』になってしまったことと、エヴァと

藤崎詩織が設定上今年で40歳というツイート等を見た。藤崎詩織とはゲーム『ときめきメモリアル』のヒロインであり、主人公の幼なじみであるが、流行当時硬派なオタクを自称していたぼくとしては知識としてそう知ってる程度で実際ときメモをプレイしたことがなく、どれだけ「攻略」が困難なのかは知らない。

硬派なオタクなので当時はそういったギャルゲーは一切プレイせず『同級生2』『リビドー7』といったエロゲーを実用を兼ねてプレイしており、告白して終わりのときメモなんて無価値とすら思っていたのだ。なお硬派なので『カードキャプターさくら』は見ていなかったが、セーラームーンはセーラースターズまでずっと見ていた。

 

そんなわけで藤崎詩織知識はほぼ「一緒に帰ると噂されるのが恥ずかしいから嫌だ」という例の画面キャプチャの情報くらいしかないのだが、初めて一人で見に行った映画、つまり映画童貞喪失作品が実写版の『ときめきメモリアル』になってしまったことは藤崎詩織が何歳になろうが忘れなそうなのでここに経緯を書いておきたいと思う。

 

急に藤崎詩織から離れるが、上記のとおり硬派なオタクだったので、高1のときにTV放映が始まった『新世紀エヴァンゲリオン』には死ぬほどハマった。それまでガンダムシリーズパトレイバーといったリアル志向なSFロボットアニメが好きだったので当然エヴァもチェックしたが、作画から設定からストーリーからこんなに緻密に作られたアニメは無い、これはアニメ史どころか日本、海外にも評価される革命的な作品になる!と最初から思っていた。そしてエヴァという存在に"気付いていない"クラスの大半の面々を見てこの情報弱者どもめ…!と見下していた。オタクとはそういう生き物なのである。そして藤崎詩織に入れ込むナンパなオタクを見下して、綾波にハァハァしていたのである。

そんな感じでドドドハマリしていたエヴァTV版の最終2話はご存じの方も多いように賛否両論、というか否がかなり多く、先日記載したパソコン通信掲示板は荒れに荒れていた記憶がある。

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パソコン通信をやっていなかったら特にナマの意見を交わすような場もなかったので「ああ面白かった」で済むが、世間はそうでもないと理解した(ぼくは深読みし過ぎた結果、"アレは2周回って敢えての表現では"と解釈した肯定派だった)。

 

ところが世間様のご意見もそうだし、作ってる側も非を認めたようで、それから1年後に劇場版で真の最終回が!という話になった。もちろん、片田舎のキモオタク(←水曜日のカンパネラに語感が似ている)もこれは流石に見なければ……ということになる。ただこの公開年の春の映画は結局総集編ということでスルーし、同年夏に上映される『Airまごころを、君に』を見に行くことにした。何度か触れているとおり硬派なオタクとしては普通の洋画とか一切興味が無く映画館に行く理由も無かったので、結果的に映画館に一人で映画を見に行こうと行動に移したのはこれが初めてのことになった(つまりこのとき以前のぼくの映画体験は『ドラえもん』とか『東映まんがまつり』なのである。高3で)。

 

自宅から一人で行ける範囲でエヴァを上映している劇場は栃木県足利市にあった足利東映という映画館だった。

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自分が若かりし頃に行っていた場所の廃墟って心をズタズタに刺してくる。そうそう、上に受付があって、お菓子やジュースもショーケースに収まって売っていて、スクリーンは2つ(確か)しかなくて右と左どっちかに入って……。そんな記憶がよみがえる。

 

夏休みのある日、エヴァの終わりをこの目で確かめるのだ!と意気込んでこの足利東映まで赴いた。当時はインターネットも無く「なんとなくここで上映している」程度の情報でわざわざ直接映画館に行ってからどの周期で上映しているか確かめるしか無かった(電話という文明の利器もあるが今回は使わなかった。なぜならオタクだから)。

 

映画館に着くと、確かにエヴァは上映していた。ただし着いたタイミングから2時間後、1作品上映した後だよ、と受付のババアに言われた。硬派なオタクは硬派なのでそこで文句も言わずわかりましたと一旦去ろうとしたが、「良かったらもう入っちゃってもいいよ」と言われた。この映画館のシステムとしては同じスクリーンで色々な作品を代わる代わる上映するかたちで、エヴァを見るのだったらそこにもう入って待ってて構わないというのだ。

そして、そのエヴァの前の上映作品が、実写版『ときめきメモリアル』だった。

 

硬派なオタクとしてはときメモのプレイ経験が無く、藤崎詩織が今は40歳でも当時は何歳かも知らなかった。だが高校生が大都会・足利市で中途半端な空き時間にどこか行ったり何かできるほどの応用力も無いので、これは素直にお言葉に甘えて実写版ときメモを見ることにした。昔ながらのテキトーっぷりで1本分の料金で映画を2本見せて貰えたのだ。だから潰れたんじゃないのか。

ともかく、そういう経緯で初めて一人で見に行った映画は結果的に実写版ときめきメモリアルになった。あなた方は初めて童貞・処女を捧げた相手を覚えているだろうか。忘れられないだろうか、あるいは忘れたい、という人もいるだろうし、マジで忘れた人もいるだろう。詳しくは聞かない。だが、ぼくの初めて一人で見に行った映画は実写版ときめきメモリアルなのだ。初めての一人映画がときメモ、これはぼくの中で一生忘れない出来事なのである。

 

 

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この歌の激しさは、近年吹石一恵がバラエティ番組でイジられるネタとしても出ていたらしいが、ぼくはこれを劇場で聴いているのだ。しかも付け加えると、要するにタダでいいから見て行けと言われた実写版ときメモ、入場者がぼく以外マジでゼロだった。貸し切り状態で見た実写版ときメモで劇中流れるフッキーの歌、このズッコケっぷりにぼくは1997年の夏から"気付いていた"のだ(なお面白すぎたのでレンタル落ちのシングルCDも持っている)。

 

映画自体は死ぬほどクソで、更にゲームも関係無い内容だったそうで一切覚えていないが、当時イキって一人で真心ブラザーズYO-KING電気グルーヴのまりん(アルバム『A』の頃)がしていたような色つきサングラスをかけていたので、全体的に画面が青っぽいという記憶がある。これは色つきサングラスのせいであり、田舎の高校生がなんでそんなサングラスをと書いててちょっとだけ死にたくなってきたが、むしろ田舎の高校生ならではという感じもする。硬派なオタクなのでファッションはロッキンオンジャパンのアーティストの服を参考にしていたのである。もしこれで都会に行ったらきっと秒殺でカツアゲされていただろう。あと映画を見るときはサングラスを取れ(エヴァを見るときは取った)。

 

で、ようやく実写版ときメモが終わってエヴァが始まるよ〜となると、流石に客が数名入ってきた。平日の昼、公開から結構経っていたとは言え、それでも少ない客数だった記憶があり、この映画館が潰れるのも納得である。ぼくは実写版ときメモの際に陣取った一番良い席(いわゆる真ん中のトチリ席付近)にそのまま座っていた。結構ガラガラなのにぼくのすぐ前に知らんオタクが座ってきたので、こいつ気持ち悪いなと思った。

 

本編が始まり割と序盤で、エヴァ弐号機が量産機にボッロボロに捕食されるシーンがあるが、そこでそのオタク、多分アスカがやられていく様に耐えかねての行為かと思うが、自分の前の座席の背もたれを掴んでガクガクと揺らしながら「ウーッウグググヌーッ アンバーッバーッ」と奇声を発していた。こいつ気持ち悪いなと思ったが、今の時代そういうことを書くと人権問題に繋がりかねないので今のは忘れて下さい。アスカも最後シンジに向かって「気持ち悪い」と言ってましたが、シンジに負けずぼくもこのオタクも気持ち悪いなと思い劇場をあとにしました。

以上がぼくのセピアの夏のフォトグラフです。これからだってよろしくね。困ったときは助けてね。

 

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あと我ながら気持ち悪すぎるのでもう一回綾波フロッピーディスクの写真を貼ります。

 

(おわり)