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アニメ『新幹線変形ロボ シンカリオン』を全力で褒める

シンカリオン! おもしろい〜〜!おもしろ.com〜〜〜!! カッコイイ! KAKKOYOSSIVE(カッコヨッシヴ)!! 超さいこう!

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この記事はなんだ


題のとおり、アニメ『新幹線変形ロボ シンカリオン THE ANIMATION』を全力で褒めます。目的は褒めたいから褒める。ただそれだけ。その上で、少しでも興味を持つ人が増えるとなお嬉しいという思いもあります。

ややネタバレもありますが、どうせ見ないならせめてコレを読んでください。そして読んでから見てください。

www.shinkalion.com

 

シンカリオン激推しポイント

 

大きくまとめて以下の3点を中心にツラツラと書きます。

 

①謎の多いストーリーに引き込まれつつ、"安心"して見ていられる!
②「現代の現代っ子」と大人の関係性を味わえる!
③鉄道や街関連の描写やネタ紹介が"本気"すぎて怖い!

 

以下詳細です。

 

①謎の多いストーリーに引き込まれつつ、"安心"して見ていられる!

 

■作品概要
新幹線がロボットに変形して小学生が操縦して謎の敵の襲撃に応じ……という、まあまあキッズ向けにありがちな設定のアニメだが、見てみると謎が多く続きが気になる。敵の目的はチラチラと示されつつも不明。人間側もまた開示されきっていない情報や調査中の情報もあり、例えて言うなら『進撃の巨人』の初期のような、「うーん 何がどうなるんだろう」という小出しの情報が気になる。

第1話放送後「明るいエヴァ」「親子関係が良好なエヴァ」などと言われていたが、腐ってもエヴァですよ。それなりの奥行きを感じさせたあのアニメを彷彿とさせるのはまさにエヴァTV版リアルタイム視聴世代の私も納得です。でもそれでいてああいう展開はまず無いだろうな、という暗黙の安心感もあって楽しく見ていられる。

まとめると、大人のツッコミどころに適度に対応しつつ逆に鉄道ファンほどオオッと感心するような細かいリアリティの追求、それでいて子供向けなポップさを忘れず、全体的に明るい雰囲気、キャラクターも魅力的な人ばかり、といかにもコレが今求められてるものなんだなーと感じる。

 

ちなみに、元々「シンカリオン」そのものは数年前からタカラトミープラレールシリーズのバリエーション玩具として展開されていたものだ。その頃は特にキャラクターの設定などは公表されず(というかまだ決まってなかったのだと思う)、公式PV(プラレール販促DVDなど)ではバチガミと呼ばれる遮光器土偶みたいな敵との戦闘シーンCGアニメが作られているくらいだった。
2017年秋くらいにアニメ化決定が発表され、2018年1月から放送開始し今に至るのだけど、実は結構前々から存在しているのです。

 

■テーマは「進化」みたい
敵の目的が現時点でまだハッキリとはしていないが、敵組織?の「エージェント」たちの言動からは、「進化」をキーワードに色々人間を試し、人間から学ぼうとしている姿勢がうかがえる。つまり人間がどう進化してきたのか(ここでは進歩とか成長のレベル感でも「進化」と言ってると捉えてください)をなぞったり試したり。1クール目では道具や技術について、そして2クール目では人間の感情面などにも迫っていく様子だ。そしてそこで学んだ人間の進化を取り込んで強くなっていく敵と、それに対して更に上回る猛スピードでやはり「進化」する主人公・速杉ハヤトをはじめ子供たち(とバックアップする大人たち)の戦いは見逃せない。子供たちの成長を見守りつつも「確かに人間ってそういう風に進歩してきたんだっけ」と考えさせられる。

 

②「現代の現代っ子」と大人の関係性を味わえる!

 
■ネオ現代っ子「速杉ハヤト」と現代っパパ「速杉ホクト」
シンカリオン E5はやぶさ」の運転士であり主人公・速杉ハヤトは小学5年生。埼玉県さいたま市在住(『ドラえもん』ののび太の家のようによくわからないところに建っている一戸建てではなく、大宮駅から徒歩圏内の分譲マンション住まいという設定もいかにも現代のリアルだ)。かなりの鉄道好きだけど、あとは成績も普通の少年だ。小学生が世界を救うロボットを操縦するアニメはこれまで幾千とあり、あくまでも子供向けアニメなので「また熱血バカ系のコロコロコミック的な主人公かな」などと放送前は思っていた。が、このハヤト君は非常に2010年代を象徴する現代っ子なのではと感じた(ちなみに熱血バカ系はサブキャラであり「シンカリオン E7かがやき」の運転士、大門山ツラヌキが担当している)。


まず、ハヤトは鉄道の知識が半端なく、私のようなリアルな鉄道ファンをもクスっとさせる豆知識や例えをチョイチョイ披露する。いま4歳になる私の息子もだが、スマホネイティブ世代は小さい頃から平気でネット検索を使いこなすので、好きなものをとことん追求できる情報にアクセスできる土壌がある。自分が子どもの頃は知りたいことを知る手段すら無かったし、田舎だったので本屋や図書館もロクなものでもなかったが、今は知りたいと思ったことはネットでかなりの情報は得られる。

 

また昔に比べ教育のためのノウハウ(勉強に限らず社会ルール、コミュニケーション、問題解決能力を育む方法などなどに関して)も成熟していると思われ、結果「良い子」が育ちやすいのかもしれない。ハヤトも時に鉄道好きが暴走する部分はあるが、空気が読める、気を遣う、自分を押し殺す、分別がつく、友達思い、俺が俺がではなくみんなをまとめられる、みたいなマジの「良い子」だ。

また、そんな「良い子」でもだからこそ、ここぞというときに我を通すというか「自分のやりたいこと」や「自分の考え」を表明するときのハヤトには親目線で見ると感動しかない。我が息子はこんな子供に育つだろうか……。ハヤトがとある回で熱血アニメ主人公のようにマジの感情むき出しになるシーンは目頭が熱くなった。

 

そしてハヤトの父親である速杉ホクトもまた、親目線世代の視聴者こと私の心をグッと掴む。自分の子供を兵器に乗せて謎の敵と戦わせていいのかという葛藤(もし自分なら偶然が重なったとしてもやらせられるだろうか…と思う)、それでも「自分の意思で」(ここ大事)やるといった子供を信じてあげること、厳しくも優しく見守る姿、こういうの親としてはすげーー難しいなと痛感する。要するに親子の信頼関係が根っこにあり、そして親から子に対する信頼範囲のアップデートの大切さ、つまり「進化」を認めることも重要だ。いつまでも子供を子供扱いしてたらいけないねと。

 


■サブキャラもみんな良い
その他の運転士たちもそれぞれのバックボーンに背負っているものがあり、それを乗り越えて「戦う理由」を自発的に決断している。

シンカリオン E6こまち」の運転士、男鹿アキタは元々秋田県在住。ビームライフル競技の選手だが、「そもそも田舎では腕を磨き合うライバルすらいない」「東京に出られなければ何も始まらない」と、都会と田舎の格差の現実を語り、ここも地方出身東京在住者の自分としては共感しかなかった。

シンカリオン E7かがやき」の運転士、大門山ツラヌキは金沢の中小建設業者の御曹司。父親は既に他界しており、母親が社長として日々奮闘しているところに、長男として早く一人前になって会社を助けたいという思いがあり、それを隠して当初はシンカリオンの運転士を断っている。そういう子供の気遣いってもうたまんなくないですか。

 

その他、彼らを取り巻く大人たちもマトモな人ばかりで「何を言ってるんだこいつは」というのが無いのが気持ちよい。シンカリオンはよく「明るいエヴァンゲリオン」などと言われるが、これも時代の違いかなあ。(あるいは単にターゲットの違い)

 

 

③鉄道や街関連の描写やネタ紹介が"本気"すぎて怖い!

 

■描写が凄い!
シンカリオンはJR各社(新幹線を持たない四国と貨物以外……)協力で制作されていることもあり、鉄道関連の描写は通常のアニメと比較するとかなり細かいと思う。もちろん細部の細部にツッコミどころが無くもないが、大部分のファンは「こういうアニメ」前提ということを踏まえたら逆に「ここまで描く?」と驚きをもって受け止められるのではないか。敵の出現位置もGoogle Earthで示されるし、各地の駅や路線は基本的に実際と同様なのでいわゆる「聖地探し」や見ている側に縁のある土地が出てくるのも楽しい。ただ、どうしても東京メトロ京急、阪急、近鉄西鉄などの人気私鉄各社がらみは一切出なそうなのがちょっと寂しいですね。しょうがないけど。

 

そういうときはシンカリオンではなくトレインファイブで我慢しよう!

 

あとハヤトの披露する鉄道豆知識は基本全部本当のことなので、これだけ覚えておいても職場や学校のアイツに差を付けられるぞ。 

 

■ご都合主義を消化する設定で腹落ちする
きちんと語られていくのはこれからだと思うが、「新幹線がロボットに…あっそう(笑)」というご都合主義的な設定にも「一応の理由」はあるようだ。もっと疲れることをしたいのに「疲れたからホテルで休もうか…」的な「一応の理由」があると大人は納得するものである。

アニメなどで例えば「何も持っていなかったハズなのに急に武器を持っている」のはあるあるな話だが、「ウンタラ理論をベースにしたホンニャラ物質転送システムにより武器を転送した」であればその理論がメチャメチャであったとしても「ああそうか」と腹落ちするのだ。そういう感じでシンカリオンの諸設定も一応の理由はある。公式で語られていたりいなかったりもあるが、自分が現時点で理解しているご都合主義設定に対する「一応の理由」をご紹介したい。以下で「そうなんだ」と思えると、シンカリオンがよりリアリティを感じて楽しめると思う。

 

・新幹線が変形する理由は、新幹線が一番速いのと、見た目でごまかせるから
 →そのまんまだが、「正体不明の"漆黒の新幹線"が現れると敵が出現する」ので、新幹線の走れる区間しか敵が出ないし、テクノロジー的にはまだ飛行機並に飛べる巨大ロボの設定ではないので地上を一番速く移動できる新幹線型というのは「合理的」だ。加えて、シンカリオンや敵の存在は一般には秘匿されている。目立たないように一見普通の新幹線というのもまた極めて合理的である(なおシンカリオンが出撃する際はJR各社に連携のうえ特別ダイヤが組まれる描写がある。新幹線が遅延したらシンカリオンが出たのかもしれないぞ!)。

秘匿と言っても一億総スマホユーザーな現代、一部目撃者はどうしても出るが、敵が出現すると人工衛星から射出される「捕縛フィールド」で敵の動きを制限し、光学迷彩で隠す。このフィールドが破壊される前に倒す、というのが基本的な流れだ。それでもYouTubeには目撃動画が流れていたりもしており、多分5chやTwitterでは盛り上がってる的な感じなのだろうか。なおハヤトの同級生にはJS(女子小学生)YouTuberがおり何かと「JSが○○してみた」動画を撮ろうと躍起になっている。

 

・子供が運転する理由は、運転適合率がなぜか高いから
 →シンカリオンは適合率でその性能が変わるらしい。適合率を総称して「鉄分」と呼ぶようだが、12話時点では「理由は不明だが子供の方が適合率が高い」ということになっている。第1話ではE6こまち、E7かがやきが戦っている描写もあるが、敵に苦戦している。これはおそらく適合率の低い大人が運転していたと思われる(E5はシステム上そもそも起動できないようだ)。


・四国や沖縄に敵が現れないの?
 →"漆黒の新幹線"が走れる線路が無いので多分大丈夫。

 

・なんで兵器なのに人のカタチなの?

 →検索ワードにガンダムを追加してググってみれ。

 

とにかく見て欲しい

youtu.be

 

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いま2クール目に入っており、Amazonプライムビデオでは過去分も見られる。まだ追いつける。見てて悪い気分にはならない作品なので是非見てみてください。
ちなみに4歳の息子(電車大好き・プラレール大好き)は戦いモノと怖い敵が出るモノが嫌いなので全然シンカリオンを見てくれません(好きな番組はショップチャンネル)。オジサンがひとりで夜中見ているだけで寂しいので視聴し始めた方是非シンカリオンについて語り合いましょう。

(おわり)

 

www.youtube.com